生産者
デリッシュネーブル
生産農家中田 孝志さん
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「柑橘の中でも、デリッシュネーブルの世話が一番楽しいなぁ」
幻のネーブルとよばれる「デリッシュネーブル」は、温暖な気候に恵まれた中島が誇る柑橘。従来のネーブルと比べると、表面はなめらか。ジューシーな果肉はコクのある上品な甘さで、その中には程よい酸味もあり、スッキリした後味が特長です。島内でデリッシュネーブルを作る農家は7戸と、貴重な柑橘であることがわかります。
2月中旬、枝吊り、玉吊りされたデリッシュネーブルがたわわに実る中田孝志さん・れい子さんご夫妻のハウスを訪ねました。
中田さんの家は、祖父の代からネーブルづくりに関わっていた柑橘農家。昭和60年、大阪で会社勤めをしていた孝志さんは、越冬完熟ネーブルであるデリッシュネーブル作りを始めたお父さんに「帰ってこい」と勧められ、親子による栽培がスタートしました。
デリッシュネーブルは、実らせる期間が長いほど甘味が増す柑橘なので、雨風や寒さから守るためハウスの中で育てます。収穫期は2月中旬から約1週間。収穫したものは倉庫内で約1カ月かけて追熟させ、糖度をアップさせます。「うちでは、摘果せず自然のまま育ててるんよ。1個1個、この子はこの子でしかない。この子なりに頑張ってくれてる」と愛おしくてたまらない様子。紅まどんな、せとか、伊予柑など、いろいろな柑橘をつくっている中田さんですが、「ハウスにいるとホッとする、本当はずっとここにおりたいんよ」(笑)とデリッシュネーブルにゾッコンです。
辛い思い出もあります。平成3年と16年の台風の際、高潮被害でハウスの木をほとんどなくしてしまったのです。現在の木は3代目ですが、あの時のことを思い出すたびに「(木を)死なせてしまって、悲しくて悲しくて涙が出るんよ」と言います。
和紙で1個ずつ丁寧に包まれたネーブルは出荷用の箱に詰められ、農協を通して、首都圏のフルーツ専門店や高級スーパーなどで販売されています。
「毎年楽しみにしてくれるお客さんに喜んでもらいたいから、去年よりもいいものを作っていきたい。極めていきたい」と抱負を語る中田さんです。
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中田孝志さんちの食卓
【おいしいカットの仕方】
デリッシュネーブルは、そのまま果肉を味わって。① 枝付きの上部分にナイフを入れ切り落とす
② 縦半分に切る
③ 左右からV字にナイフを入れ、芯を切りとる
④ 4等分にしたら、さらに斜めにナイフを入れ8等分にする
⑤ 果肉と皮の間にナイフを入れ、皮をとる
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